【09.12.14】 12日行われた生活保護研修会・相談会の報道

中日新聞

生活保護行政見直しを 桑名の男性孤独死で弁護士らが研修会
2009年12月13日
大勢の人たちが来場した生活保護の研修会=桑名市役所で

 桑名市で生活保護を打ち切られた男性が孤独死した問題で、現地調査した弁護士や学識者らによる生活保護問題対策全国会議などは12日、同市役所で生活保護の研修会を開き市に対応改善を求める意見書を提出した。
 意見書では、男性の「仕事を見つけてやっていく」との言葉を理由に、就労先や就労収入額を確認しないまま市が保護を廃止したことを「重大な問題」と指摘。就労の安定性などの確認は「最低限の義務」と断じた。その上で、経験豊富なケースワーカーを配置するなど、生活保護行政の全般的な見直しを求めた。
 市社会福祉事務所の高井講治所長は「法律運用で四角四面にならず、相手の気持ちに立った配慮をしていきたい」と話した。
 研修会には約120人が来場。その後の無料相談会には市内外の8世帯が訪れた。うち4世帯が申請の相談。1世帯はその場で市が申請を受け付けた。
 研修会と相談会は、市が共催。同会議によると、行政が連携に応じるのは全国的にも珍しい。
 (福岡範行)

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毎日新聞

桑名市:生活保護行政で市民団体と研修・相談会 /三重
 弁護士や有識者らでつくる「生活保護問題対策全国会議」と「東海生活保護利用支援ネットワーク」は12日、桑名市と共催で生活保護にかかわる研修会・相談会を同市役所で開いた。2団体が自治体と共催で研修会や相談会を行うのは全国初の試みといい、同会議は「休日に相談から申請までを一括して行う画期的な取り組み」と話していた。【高木香奈】
 ◇研修、職員・市民120人が参加
 生活保護を打ち切られた桑名市の男性(当時53歳)が今年4月に孤独死した問題を調査した同会議が、保護行政にかかわる人たちに法律などの理解を深めてもらおうと同市に提案。市も「職員のスキル向上のために」と受け入れた。
 研修会には市の担当職員13人をはじめ、市内外の福祉関係者や生活保護受給者など計約120人が参加。同会議幹事で花園大社会福祉学部の吉永純教授(公的扶助論)が「基礎から学ぶ生活保護・実施要領」と題して講演し、保護の申請や廃止の際に注意すべき点などを指摘した。また、同会議の尾藤広喜代表幹事が「生活保護行政を全般的に見直すべきだ」などとする意見書を市側に手渡した。
 午後の相談会では、同会議・ネットワークの専門家と市職員計約20人が相談に応じ、市内外の8人が訪れた。うち半数は既に生活保護を受けており、この日、保護を申請したのは1人だった。
 尾藤代表幹事は「同じような悲劇が起きないように取り組む市の姿勢は評価する」と話した。飯田寛・市福祉総務課長は「職員のスキル向上のために有意義な1日が過ごせた。意見書は真摯(しんし)に受け止め改善につなげたい」と話していた。
〔三重版〕

読売新聞

生活保護を考える桑名で研修、相談会

訪れた人から話を聞く相談員
 桑名市で生活保護を打ち切られた一人暮らしの男性(当時53歳)が孤独死した問題を受け、生活保護の研修会と相談会(生活保護問題対策全国会議など主催、桑名市共催)が12日、桑名市役所で開かれた。
 研修会には、約120人が出席した。生活保護行政に詳しい花園大の吉永純教授らが講師を務め、貧困率が高まっている反面、生活保護の利用率が低いと指摘した。相談会では、市のケースワーカーと全国会議のメンバーら約30人が8件の個別相談に応じ、うち1件が保護申請をした。
 吉永教授は「行政と市民団体が協力して相談会を開くのはあまり例がない。ワンストップサービスに取り組んだのも画期的だ」と評価していた。
 全国会議は、10月に実施した孤独死問題の調査結果を踏まえ、市に意見書を提出し、生活保護法に基づく行政運営や援助・支援の充実、ケースワーカーの資質向上を求めた。市福祉総務課の飯田寛課長は「誠実に受け止め改善していきたい」と話している。
(2009年12月13日 読売新聞)

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しんむん赤旗

生活保護充実ともに
餓死教訓に 市が市民と研修会
三重・桑名
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 三重県桑名市役所で12日、生活保護の研修会と相談会が開かれました。生活保護問題対策全国会議、東海生活保護利用支援ネットワークと、桑名市が共催したもの。
 同全国会議では、行政との共催は例がなく、画期的だとしています。会の開催に当たっては日本共産党桑名市議団などが力を尽くしました。
 桑名市では今年4月、生活保護を打ち切られた男性(当時53歳)が餓死状態で発見された事件があり、10月には、同全国会議が現地調査に入っています。研修会では、この調査に基づいて、桑名市に生活保護行政の改善を求める意見書も手渡されました。
 研修会には、行政関係者や議員を含む約120人が市内外から参加。吉永純・花園大学教授が講演し、東海支援ネットの森弘典事務局長が相談活動の状況を報告しました。
 吉永氏は、生活保護率が先進国で際立って低い日本の実態を指摘して、生活保護の積極的運用を訴え、その原則や運用法を詳しく紹介しました。
 参加者からは「『役所に生活保護申請を拒否する権限はない』など、あらためて勉強になった」などの声が寄せられました。
 相談会では、全国会議や東海支援ネットメンバーの弁護士や専門家と市職員が共同で相談者に応対。用意された七つのブースは、すぐいっぱいになり、その場で保護申請を受理される人もいました。
 この日のとりくみについて、桑名市の飯田寛・福祉総務課長は「(餓死事件では)厚労省の監査も受けており、職員のスキル(技能)アップを図らねばと思っています。研修・相談会は、そのいい機会」だと話し、同全国会議の尾藤廣喜代表幹事は「市がよく決断された。私たちの意見をまじめに受け止め、改善されようとしていることを評価したい」としています。

下記写真は星野撮影


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